■神道のお葬式

●お葬式といえば仏教だけのもののように思われがちですが、神道においてもお葬式を行います。
この神式のお葬式を神葬祭(しんそうさい)といいます。仏教伝来は、奈良時代少し前のことですが、それ以前はやはり我が国の慣習による葬儀が行われていたのです。神道では「おみたま」を「霊璽(れいじ)」にお移しいたします。それは仏式の位牌に当たるものです。仏式では、戒名をいただきますが、神道の場合は神様からそして親から授かったその人が生きてきた氏名そのものが「おみたま」の名前となる点が大きな違いといえましょう。
★★神葬祭(しんそうさい)★★
神道式による葬儀。明治以前は檀家制度のもとで民衆の葬儀はもっぱら仏教が担っており、神葬祭は表向き江戸幕府から許されたのは天明五年(1785年)吉田家から許可状のある神道とその嗣子のみであった。明治維新の後に檀家制度が廃止され「自葬祭禁止の布令」が出されてからは一般にも可能となった。神葬祭が形作られたのは幕末か明治にかけてであり、全ての神職に開かれたのは戦後のことである。「神葬祭」という言葉自体、仏教葬儀に対抗するためのものであった。神葬祭の儀礼は、まず神棚と祖霊舎に帰幽(死亡)を奉告し、その前面に白紙を貼る。そして病気の平癒などを祈願した神社があればその神社に代参(代わりの人)を派遣するか遥拝(遠くから礼拝)して祈願を解くなどを行う。
●日本人の祖先まつりは、元来神式(神道)にて執り行なわれることが本来でありましたが、日本に仏教が伝来し、いつのころか、仏式によります祭儀や法要などが盛んになって参りました。
●神道(神式)における祖先まつりの考え方は、人が死去(帰幽といいます)しますとその御霊は霊璽(一般にいう位牌)に遷霊(うつすこと)され、各家々の御祖先の霊社(各家の御霊舎)に祀られ、一家の守護神となると考えられ、日夜子孫を見守り、子孫の繁栄と幸福をもたらすとされています。
●葬儀に関する祭
■帰幽祭 ■通夜祭 ■葬場祭 ■火葬祭 ■帰家祭
●忌日祭
■十日祭 ■二十日祭 ■三十日祭 ■五十日祭
(五十日を似って忌明け、納骨を通例といたしております。)
●年忌祭(仏式でいう法事 通常数年で行ないます。)
■一年祭 ■三年祭 ■五年祭 ■十年祭 ■二十年祭 ■三十年祭 ■五十年祭
以上の考えをもって神道の祖先まつりを執り行なっております。
★歴史
神道の形式によって行われる葬儀を「神葬祭」といいますが、葬儀というと一般的には仏教の専門と思われがちで、事実、仏教の形式によって行われる葬儀が大半を占めています。けれども、神葬祭はすでに仏教伝来以前からあったことが、『古事記』『日本書紀』といった古典にも記されていて、日本固有の葬法があったことを物語っています。
仏教伝来以降は、急速に仏教の形式による葬儀が普及していき、さらに江戸時代になると寺請制度(キリスト教の信仰を防ぐため、人々は誰でも必ず寺に所属しなければならないという制度)が実施されたことから、その傾向はますます強くなりました。そのような時世の中、国学の興隆によって国学者らによる神葬祭の研究も行われるようになり、神職とその嫡子に限って神葬祭が許可されるようにもなったのです。明治時代になると、一般人に至るまで神葬祭が許可されるようになり、全国へ広まっていきました。
★神葬祭の流れ
神道の葬儀である「神葬祭」は
帰幽報告(きゆうほうこく)の儀にはじまり、枕直し(まくらなおし)、納館(のうかん)、前夜祭(ぜんやさい)、葬場祭(そうじょうさい)、発柩祭(はっきゅうさい)、火葬祭(かそうさい)、埋葬祭(まいそうさい)、帰家祭(きかさい)をもって終了します。
@枕直しの儀
1.遺体に白木綿の小袖を着せ、首位を向かって右方向に安置、守り刀の刃を遺体と逆方向に向け枕もとに置きます。
2.
お供えは「案」とよぶ白木の八足の上に三方を置き、それぞれの容器に 水、塩、米、酒、故人が好んだ品々又日常の食膳をのせ、榊、ろうそくを飾ります。
3.
お供えのあと、遺族、近親者、親しい人たちが、故人の安らかな眠りを祈ります。
4.
喪主、遺族、近親者、二礼・二拍手・〔しのび手(音をたてない)〕・一礼で行う。
A.納棺の儀
1.
遺体を棺に納め、棺に蓋をして白布でおおいます。
2. 棺を通夜を行なう部屋に移し、祭壇の中央に安置します。
3.
祭壇に、遺影と供物を供え棺前に着席します。
4. 喪主、遺族、近親者、二礼・二拍手・〔しのび手(音をたてない)〕・一礼で行う。
B.前夜祭、遷霊祭
前夜祭は近親者によってお葬式の前夜に、夜を通して行われます。前夜祭は死亡後、葬儀を行うまでの間、遺体のあるところで生前同様に礼をつくし手厚く行う儀式です。
遷霊祭では亡くなられた方の御霊を霊璽(れいじ)といわれる白木の「みしるし」に遷します。霊璽には霊号、おくり名が記されしばらくの間は仮御霊舎に安置されます。また前夜祭にて悲しみや慕いの気持ちをこめた「祭詞」を申し上げ、遺族の方は「玉串」を捧げてお参りします。
★5.
墓所地鎮祭並びに祓除の儀
新しく墓所を築く際には工事に先立ち地鎮祭でその土地の神を祭る。また葬儀に先立ち祓除を行う。
C葬場祭、発柩祭
故人に対し最後の訣別を告げる最大の重儀である(告別式)。弔事の奉呈、弔電の奉読などが行われる。
発柩祭は葬場祭終了後、火葬場に葬送することを柩前に奉告する祭儀。出棺の際霊璽は火葬場に持参しない。
★発柩後祓除の儀
発柩後、自宅の留守をあずかる親族などが家の内外を整え、また神職が祓い清める儀式。
★葬場祭の儀(告別式)
神葬祭における告別式で故人との最期の別れを告げる儀式。儀式の進行は通夜祭とほぼ同じである。
D.火葬祭
遺体を火葬に付する際に行われる祭儀。
E.納骨祭
墓所を祓い清め遺骨を埋葬した後に行われる祭儀。事情により当日中に埋葬できない場合は日を改めて行うが、出来るだけ五十日祭までに納骨するのが望ましい。
F.帰家祭(きかさい)
火葬場または墓所から戻り、塩・手水で祓い清めて霊前に葬儀が滞り無く終了したことを奉告する。
★霊前祭の儀
遷霊後は霊前を祭り、埋葬後は墓前をも祭り、霊前、墓前に孝敬を尽くす。
・霊前日供の儀 遷霊後、遺族が霊前に毎日常饌を供えて奉仕すること。これは霊璽を祖霊舎に合祀するまで行う。
・翌日祭 葬儀の翌日霊前、墓前で行う。
・毎十日祭 帰幽後十日、二十日、三十日、四十日、五十日目に行う。五十日祭は仏式葬でに四十九日にあたり丁重に行う。
・百日祭 帰幽後百日目に行う。
・一年祭 一年後の帰幽の日にとりわけ丁重に行う。
しのび手で拝礼するのは一年祭までとされ、それ以降は通常の拍手で行う。
★祖霊舎に合祀の儀
喪中の五十日祭が終わったら霊璽を御霊舎に移し、先祖の霊と共に合祀する。この後、仏式の年忌法要と同様に祖霊祭が行われる。祖霊祭は弐年祭祭ともいい、三年、五年、十年.....と営まれる。神道では死による穢れを祓うため、神社では葬儀を行わず、墓地も神社内に作られない。東京の青山墓地や雑司が谷墓地は、元々明治政府によって作られた神葬墓地であり、また最近では神社の経営する墓地や納骨堂も現れてきている。
神式枕飾り
★神葬祭の特徴
神葬祭における特徴の一つに遷霊祭があります。厳粛をきわめる儀式で、位牌に相当する霊璽(れいじ)に故人の御霊をお遷しするものです。
この遷霊の儀によって神霊の宿った霊璽を故人の御霊代として祀ります。霊璽の形式にも種類があり、故人の愛用品をそれにかえて祀ることもあります。霊璽の表には戒名にあたる霊号が記されますが、この霊号も時代、地域によって異なります。
不幸がでた時、その日のうちに神棚には白い紙を張り、この間は拝礼をしてはいけないとされています。そしてこの紙は50日、清祓の儀後、はずされます。50日祭は、今日で喪が明けることを知らせる忌明けの祭りです。(100日祭・1年祭をあてる所もあります)この他、神葬祭では拝礼の作法も普段とは異なり、音を出さずに手を叩く忍手(しのびて)をもちいます。
★霊祭
仏教の回忌にあたる儀礼では「霊祭」といいます。神葬祭が終わると節目ごとに、御霊の遺徳を偲び、1年祭に始まり、3年・5年・10年・20年・30年・40年・50年と続き、以後100年ごとに行います。これらの年以外にも、毎年の命日の儀礼は仏教同様に行われます。1年祭までは神葬祭の延長と考えられ、以後、故人の御霊は祖霊として祀られます。1年祭が一つの区切りとされたのは、御霊は帰幽の後、一定の期間は荒々しい状態《荒魂(あらたま)》で、祖霊として御霊が和み(なごみ)《和魂(にぎみたま)》鎮まる期間を、生活の基本単位の1年と定めたことによるものと思われます。この他に、春季祖霊祭(春分の日)、秋季祖霊祭(秋分の日)、正辰祭(祥月命日)、毎月の1日・15日に月次祭(つきなみさい)、朝夕に日供を行います。
このように霊祭を続けていくことで、御霊は霊威を増し、神霊へとたかまり、家の守護神として永く子孫を守護するものと考えられています。
★忌服について
服」とは喪服を着ることつまり喪に服すること、「忌」は人の死を畏れ忌むことを意味します。家族、親族に不幸があった場合、家にこもって謹慎し、霊に対し哀悼の誠を捧げることを忌服といいます。この期間中は、神社への参拝、祭りごとへの参加、お祝い事等を遠慮するのが一般的です。
その期間は、ご自身と、亡くなった方との血縁がどうであったかによって、変わります。
地域の習慣もありますが、下表をご参考にして下さい。
ア) 父母・夫・妻・子 50日
イ) 祖父母・孫・兄弟・姉妹 30日
ウ)
曾祖母・曾孫・甥・姪・叔父・叔母 10日
エ) その他の親族 3日
オ) 特に親しい友人知人 2日
カ)
配偶者に親族については、前項を一項ずつ繰り下げたに日数による。但し前項エ)オ)については服さない
キ)
本葬・社葬などが右の期間を過ぎて行われた場合は、更にその当日のみ服する。
一般的には、五十日祭をもって忌明けとし、この翌日に神棚に貼った白紙をはがし、平常の生活に戻ります。
★家庭の神棚について
ご家族等がなくなったとき、その日より忌中の間は、神棚に白布や半紙を掛け、お供えや参拝はしばらく遠慮します。
また、この期間が過ぎていれば、新年の新しいお札をお受けになってもかまいません。
★神社の参拝
この期間中は、神社境内への進入また地域における祭礼行事などへの参加を遠慮する。
※上記立場上やむなく参加の場合は、忌明けの祓いを受ける。
★お正月について
ご家族等が亡くなったとき、年末年始のご挨拶、年賀状は遠慮するのが一般的です。
また、門松、しめ飾りなどもお飾りしません。
ただし、亡くなってから50日以上を経過している場合等は、門松、しめ飾りをお飾りしてもかまわないでしょう。その際は、例年より控えめにするのがよいでしょう。
●わが国では「日の本に生まれ出でにし益人は神より出て神に入るなり」という詠歌が伝わっています。これは、わが国では古未より、生死は神のはからいによるものといい、神の世界から生まれ、神の世界へ帰ると伝えられています。神の世界へ帰幽した「御霊」は、子孫の祭りを受け、国家と子孫を守護するためにお働きになるのです。我々は、ご先祖の魂を受け継ぎ、祭りと伝統を絶やすことなく、怠ることなく継承し、祭り一先祖祭り一を通して子孫が八十続きに続きます。これこそ、国の安泰、家の弥栄に到達するのです。皆様には、このすばらしいわが国固有の太古から伝わる祭り一先祖祭り一の形をご理解いただき、真心こめてのご奉仕を心よりお勧めいたします。
■各儀式の手順2
■神式 葬場祭・告別式
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★葬場祭・告別式を行います。
一、一同手水 着席
次、弔辞弔電
二、祭主祭員入場 次、玉串奉奠
三、開式の辞 次、祭主一拝一同列拝
四、修祓(しゅうばつ) 次、撤幣撤餞
五、祭主一拝 次、祭主祭員退場
六、奉幣献餞(ほうべいけんせん) 次、主催者挨拶
七、祭主祭詞奉上 次、閉式の辞、終了
八、誄詞(しのびことば) ※続いて一般告別の為の玉串奉奠
★出棺の儀
〈正式には斎場祭の前に出棺祭(発柩祭)を行いますが、現在は斎場祭中に執り行います。〉
☆故人との最後のご対面後、棺に蓋をし銘旗(めいき)を付け、棺に注連縄(しめなわ)を巻きます。
他、式場への神葬祭の準備手配。
★炉前祭(土葬の場合は埋葬祭)
○神官一人が随行し、炉に棺を納めてから炉前にて神事を執り行います。
■葬儀を終えて
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★祓除(ふつじょ)の儀
○出棺後、葬家にとどまる祓主及び修祓係が、残られた関係者を御清めします。
火葬場から戻られた方が、門口にて塩、手水を終えられた後も同様です。
★帰家祭
○ご遺骨と霊璽を仮霊舎に安置し、無事葬儀が終了した事を報告します
☆ご遺骨をすぐ埋葬しない場合は、忌明け後行ないます。
★玉串奉奠
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(1)遺族に一礼します。
(2)遺影に向かって一礼します。
(3)枝先を左手で下から、右手で上から受け取ります。
(4)玉串を正面にかまえます。
(5)左手を根元に、右手を葉先に持ちかえます。
(6)根元が霊前を向くよう半回転し供えます。
(7)音を立てず二礼二拍手(しのび手)一拝します。
(8)遺族に一礼します。
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